住友商事は11日、住友精密工業の完全子会社化を目的にTOB(株式公開買い付け)を行うと発表した。住友商事は住友精密の株式27.64%を保有する筆頭株主で、同社を持ち分法適用関連会社としている。買付代金は最大139億7400万円。株式の非公開化により、両社の機動的な意思疎通の機会を確保し、一体的運営による成長戦略を推し進める。住友精密はTOBに賛同意見を表明した。TOBが成立すれば、東証スタンダード市場への上場が廃止となる。買付価格は1株につき3650円。TOB公表前日の終値2510円に45.42%のプレミアムを加えた。取得予定数は382万8544株。買付予定数の下限は所有割合39.03%にあたる206万4856株に設定した。第2位株主の日本製鉄は保有する対象者株式の14.46%すべてをTOBに応じることになっている。買付期間は11月14日~12月26日。決済の開始日は2023年1月4日。公開買付代理人はSMBC日興証券。住友精密は1961年に住友金属工業(現日本製鉄)の航空機器事業(プロペラ、脚、油圧機器など)が分離独立して設立された。現在は航空宇宙、産業機器、ICT(情報通信技術)の3事業を柱とする。ICT関連では次世代分野とされるMEMS(微小電気機械システム)開発に強みを持つ。住友商事は2017年に、グループ事業の資産圧縮を進めていた日本製鉄(当時、新日鉄住金)から株式を譲り受け、住友精密の筆頭株主となった。住友精密は1970年に東証2部に上場(1971年に東証1部)。東証市場区分の変更に伴い2022年4月に東証スタンダード市場に移行した。
住友商事<8053>、住友精密工業<6355>をTOBで完全子会社化
